無邪気で善良な市民

 昨日は苦労の甲斐もあって池袋の駅のそばにあるビジネスホテルでのインタビュー撮影はつつがなく終わりました。しかしたぶんフロントのスタッフの方は「なんでダブルとったのに二人とも宿泊せずに帰るんだろう」と不審に思ったかもしれないけどw
 インターネットで探したホテルだったんだけど、広告の写真だと「女性向きのすごくおしゃれなヨーロッパ調のホテル」に見えた。でも実際はビジネスホテルとラブホテルを足して二で割ったような雰囲気で正直イマチチでした。結構女性をインタビューする時には雰囲気に気を使うからあらかじめロケハンして部屋の様子が見れるといいんだけど。今日は休みだったけど池袋を練り歩き(まあ、別に新宿でも渋谷でもいいんだけど)外観と内装とフロントスタッフの対応がいい場所をロケハンして探してみた。次回の撮影で使うホテルをある程度品定めしておきたいから。
 いったん家に帰って洗濯をして、少し仮眠した。夜は映画監督の深田君と新宿でご飯を食べた。彼は職場が一緒なんだけど、なかなか会えない。自分も彼も最近は作品の製作で忙しかったので久しぶりにあえて嬉しかった。最近面白かった映画の話を聞いた。
 そういえば彼は平田オリザファンなんだけど、自分もすごく好きです。かなり昔の彼の作品で「ソウル市民」っていうのがあるんだけど、日本による完全な韓国併合の前年の時代のお話で、ソウルで商売をしているある「善良な」家族が描かれている。この作品では差別構造の中での「善良な市民」が描かれている(らしい。自分は見てないのだ)それを聞いて思い出したんだけど、数年前に取材で中国戦線に従軍していた元日本兵の話を聞いたんだけど、慰安婦に関しても中国本土での民間人との交流にしてもやけに「明るくて美しい」事に気づいた。被支配者層からみたら悲惨な体験だったのに支配者層からしてみたらコミカルだったり、ノスタルジックだったりする「いい思い出」だったりするわけで、「なんだかな・・・」と首をかしげたものです。
 後、現代で言うならば例えばちょっと高級なバーとかで飲んでるとアッパークラスのおじさんと話す事もあるんだけど、金は持ってるし有名大学での高等教育も受けてるから9割ジェントルマンで完璧な会話ができるんだけど、たまーに残りの1割の会話の中にとんでもない発言が混じってるんだよね。例えば「アフリカの連中はほっとくと殺し合いしかしないから、俺たち商社マンが介入して文化的にしてやってるんだ」・・・とかね。自分としては「おいおい」って突っ込み入れたくなるんだけどまあ、笑って社交みたいなw

 記憶の改ざんっていうよりは本当に無邪気で無垢だったりするわけで、ある意味ちょっとゾッとしますよね。