伊藤ふきげん製作所

 

伊藤ふきげん製作所

伊藤ふきげん製作所

 詩人の伊藤比呂美のエッセイ。彼女は前夫と離婚してイギリス人のおじさんと再婚。日本からアメリカへ移住して今の夫と英語のできない二人の娘とアメリカで共同生活。そして娘達は思春期。・・・この時点で私としては(意外に保守的なので)「そんなん娘がかわいそうじゃんか!メチャクチャだなこの人」って思ってたんですが、そんな家族のドタバタ生活をつぶさに真摯に描いていて、好感が持てました。今更ながらに家族に定義なんてあらかじめ無いし、自分なりの親子や家庭を築いていくもんなんだなーと思いました。
 伊藤さんは18歳の時に摂食障害になりましたが、娘さんも見事に摂食障害になってしまいました。悲しむ場面なんでしょうがあまりの世代間連鎖ぶりに「ぶわははは!」と笑ってしまいました。(実は私も10年間摂食障害だったけど、結構笑える話満載だったな)伊藤さんの言葉を借りるなら「女として現代に生まれてきたモノへの通過儀礼」なんでしょうね。
 伊藤さんはさすが詩人だけあって文章が美しいです。まるで現実の話しじゃなくて小説を読んでるみたいです。ファンタジーではない生の女を体験したい人にオススメの本です〜。