「蓬莱」(ほうらい)

 日本人ならダビンチコードよりコッチでしょ!

 今ちまたでは「ダビンチコード」が大流行。ねこもしゃくしもダビコーづくし。母ヒロ子までもが映画館へ行ってしまう始末。このシリーズできっと作者は億万長者になったんだろうなあと思うと、労働意欲がそがれるわけですが、ま、それはおいておくにしても、私はある発見を今日した。
 なんと94年の段階で日本にもダビコーに匹敵する日本版の秀作があったのであります!その名も「蓬莱」(ほうらい)。
 この本は歴史学民俗学、ゲーム、数学あらゆる学問や理論を結集して極めて難しい『日本人という民族とは何か』に関して肉薄している。

 日本人は一体どうやって形成されたのか?一体どこから来た民族がこの国を形作ったのか?もっと言えばなぜ今私たちの深層心理には潜在的な風景や価値観、風習があるのか?もちろん政治というバイアスがかかればいろんな見方ができるが、この作品にはそういったバイアスも含んで「シュミレーションゲーム」を舞台にして話が進んでいく。時代はちょうど日本がPKOで海外からの外圧で出兵をよぎなくされた頃。ゲームを制作する制作会社、プログラマー歴史学者、数学者、ゲーマー、愛国主義政治結社、政治家、弁護士、警察、いろんな人々を巻き込んで謎が深まり、そして解かれていく。
 
 今年上半期で一番おもしろかった本でした〜。 

蓬莱 (講談社文庫)

蓬莱 (講談社文庫)