メディアアクト、チャムセサン、シンポネット

 今日は韓国のメディア運動の最高峰?と言われている「MediAct」の授業を受けました。私とMediR事務局スタッフ2名(ヤングギャルとヨン様)と現代アーティストの藤井光さんとのチームでした。今回私たちはこの団体のいちばん力を入れているメディアクティビストを養成する講座をトレーニングする側の特別なプログラムを受けました。
 メディアアクトはソウルの中心部の「光化門」というところにあり、美術館やおしゃれなカフェがあるビルの最上階にあります。ガラス張りの瀟洒な建物にあるので若者や一般人が気軽にこれそうな雰囲気です。ここはドキュメンタリーや劇映画など映像製作に興味のある一般市民が学びにこれるメディア教育の場で、金額も一般の専門学校よりかなり安いです。時間も朝から夜遅くまで開いていて、しかも申請すれば夜中も編集作業などに来れます。そして年間3日間しか休みません。私が驚いたのは普通ドキュメンタリーまでなら理解できるけど、劇映画の講座もあって、しかも機材もキッチリそろっていて、映画の現場でしか見ないような大型の照明機材や16ミリカメラや高額なレンズも一式そろっていて貸し出しをしています。常に機材を抱えた若者達が出入りしています。年間受講者数は2000名前後で男女比率は半々で年齢層は20歳から30歳が86パーセントです。若いですね!うらやまー。
 10時から12時までが概要や施設紹介。午後は場所を変えて別団体の「チャムセサン」を訪問。ここは労働運動をネックにした記事や画像、映像などの情報発信をしているポータルサイトを運営しています。5、60名の市民がコラムニストとして参加し、組合や支援者からのカンパやRTVへの映像コンテンツの納品が収入源です。「進歩ネット」は同ビルの上の階にあります。運動のサーバ構築や新たな研究開発などをしています。今まではサーバを管理する上でIPアドレスを政府に絶対に渡していなかった(要するに検閲ができない)のですが、政権が変わって法改正が進み、IPを提出しないといけなくなったそうです。後、FTAがらみではネット上でおこった「不買運動」を当局が検閲し逮捕した事件が起こり(マジで!?)ネットでもみんな萎縮している状況だということでした。前から気になってた日本でのmixi著作権剥奪事件を話したら、「政府や企業から独立したサーバの中でRSS機能などを使ってどうやってmeta的なネット空間を構築できるか今各国のアクティビストと研究を進めている」とう返答で「マジすげえ」と思いました。ちなみに「どうやって?」と聞いたら「ネット上のopensouseで学び、更にそこへ研究したものを積み重ねて行ってる」と。いや、なんかこのベタベタして暑苦しく無い交流の仕方がめちゃ技術系アクティビストって感じですよね?
 夕方またMediActに戻って具体的なカウンセリング。(個人的な体験や最終的な目標などを生徒から聞き取る)この授業ではこの「長期ドキュ講座」を受けた生徒さんの作品を拝見しました。・タワー労働者(建設現場のクレーン操作をしている作業員)自信が撮影した仕事場の現状。・白血病の当事者の受講者が撮った医療ドキュメンタリーなど・・・不可視なものを見せて行く底力を見せつけられました。
 この後に実際に授業を受けた事がある生徒さんから直接ヒアリングできました。元右翼青年だった彼が結果的に韓国の選挙管理システムを批判をするドキュメンタリーを製作した話を聞いてその懐の広さに驚きました。(誹謗中傷として「メディアアクト」では不穏分子を育てる養成所だみたいな事を言われる事もあるけれど、でも、実際受講生の話を聞くと「自分が今のままでいても大丈夫で安心できる場だった。」と言っていてとても好感を持ちました)
 夜は所長さんからのカウンセリングを受けて日本から来た我々の資質やらをいろいろと吟味してもらいました。所長は3・8・6世代(韓国の民主化運動世代)で高倉健的に硬派でメッチャ緊張しましたが、「こんな40代になりたい」と思えるボスでした!