「靖国 YASUKUNI」/リー・イン/アルゴピクチャーズ

 今日は夕方から銀座の某劇場の試写室で映画「靖国YASUKUNI」を見てきました。なんか色々問題になってるらしいと噂では聞いてましたが、今日夕方のニュースを見ると新宿バルト9に続いて銀座シネパトス、渋谷Q-AXcinema、シネマート六本木、シネマート心斎橋全ての上映館が上映を自粛したそうです。
 この作品の質や、資料性や、どういった立場性から撮られたかについての議論以前にこの法治国家であり、民主主義国家である(はずの)日本で議員の圧力や右翼団体の圧力があって(想像ですがそれ以外考えられんでしょう?)自粛を余儀なくされるって一体どういう事?って思いますよ。
 シンプルに思うんですけどね一応先進国である日本がこんな事やってるなんて「かっこ悪い」し「面白く無い」ですよ。
 上映を差し止めようとした方に問いたいです「一体何を恐れているんですか?」って。本当に自分たちが主張する事に自信と誇りをもっているんだったら、ぜひ上映してもらって、その上で見た人と話せばいいじゃないですか?観客をもっと信頼しましょうよ?私たちはただの「でくの棒」じゃないですよ?考えてますし、感じてます。一人一人に見るチャンス、考えるチャンスがあるはずです。ある人にとって駄作かもしれないし、ある人にとっては生涯忘れられない作品かもしれません。

 もう一度言いますけど、内容はともかくまずみんなで見ましょう!そしていろんな議論をすればいいんだと思います。

 余談:もしもチベットの件で中国の情報戦を揶揄するなら、日本こそこういった言論弾圧を即刻改めるべきです。お互い悪い所を見習わず、いい所見習いましょう!
 
 映画「靖国」上映妨害問題 (追記ありhttp://sekakata.exblog.jp/tb/6916737 ←ここのサイトよくまとめてある
 国会議員横ヤリの「靖国」試写会に80人 偏向指摘も  http://blog.seesaa.jp/tb/89354493
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 ・・・で以下はネタバレなんで、見る前に読みたく無い人はスルーして下さい。











 ・・・で内容なんですけど、問題になっている政治性に関しては「え?あ、そう。これで終わりなんだ」って感じでした。別に目くじらたてるような表現はなかったですね。まあ、自分自身が仕事や、作品制作で8・15の靖国を撮影してきた事があるし、左派、右派両方の方々を撮影してきたので、既視感があって、ちょっと視点が一般の方とズレてるのもあるんでしょうけど。試写会に来られていた学者さんがおっしゃっていたのは「西洋文化的解釈が最後の方にみられた」との事で、まあ、端的に言うと「原爆を落とされた事」=天罰というロジックを指してるんですけど、これも見る側の解釈の問題で、悪意は感じませんでした。それよりも監督の「無垢な視線」が勝ってると思った。だからちょっとそこで誤解されて損をしているなあと。

 靖国神社の中で日本刀をつくっている人がいるっていうのは、私は全然知らなかったので新鮮だったし、しかも、きちんと古式ゆかしい日本の伝統を重んじているその姿が単純に「美しいなあ」って思いました。職人だから言葉が少ないっていうのも何かリアリティありますよね。このシーンとか監督の日本へのリスペクトを感じたんですけど。

 台湾の方、中国の方が日本や靖国でどういった風に扱われているかも描かれている。そういった所に日本人の差別観や本音が現れていて、象徴的なシーンでした。
 

 全体的にみて、とてもバランス感覚に優れた、優しいまなざしを感じました。多くの方に見て頂きたいですね。上映をご支援して行きたいと思っています。みなさんも一緒に実現してみませんか?